くらげなうぇぶろぐ。

freya鯖在住、プチ強い殴りアコの徒然書。
何の変哲もないWeb日記ですが、楽しんでいただければ幸いです。
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ゲーム脳に踊るひとびと。
昨日放送のNNNドキュメント
各所で話題になってますね。・・・私自身は見逃してしまいました。
・・・それ系の番組にありがちな、いい加減な根拠による無責任なネット批判だったようですが。
TVというメディアは、発信内容を過度に信じ込ませる技術をもっているもの。
どんな番組だったにせよ、無批判な妄信は禁物です。

ところで、最近ときどき目にするようになったゲーム脳という言葉。
上記の番組でも使われたらしいですが、ゲームやる人なら多少は気にかけたことがあると思います。
最近では、ゲーム叩きの論拠にされてる感もあるこの現象ですが、
科学的な信頼性・妥当性はかなりあやしいです。

ゲーム脳ついては、斉藤環氏がとことん批判しておられますが、
認知心理学の知見から、ひとつ突っ込みを入れてみます。

ゲーム脳が発見された実験とは以下の通りです。
 ・ヘビーゲーマーにゲームをやらせたところ、β波の活性レベルが非常に低かった。
 ・ゲームをほとんどやらない者に同様の測定を行ったところ、β波に以上は見られなかった。
 ・β波の抑制は思考・感情などを司るとされる「前頭前野」に顕著に見られた。
以上のことから、実験者は
「ヘビーゲーマーは「人間らしい」思考活動に障害をきたす恐れがある」
ということを指摘しています。

さて、この実験結果なんですが、心理学者にとっては当たり前だったりします。
人間の思考活動には、その内容に応じて処理リソースが割り当てられます。
この処理リソース、慣れないことを行うときにはたくさん必要になりますが、
習熟していくにつれて、必要とされるリソース量は減少します。
(車の運転をしながら、同乗者と会話することを思い浮かべてみてください。)
処理リソースが活性化すると、脳内の電気活動や血行活動は促進されます。
つまり、同じ活動を行ったとしても、非熟達者のほうが脳波やトポグラフは活性化するのです。

・・・もう、お解かりですね?
 ・ヘビーユーザーはゲームに熟達していたため、リソースはほとんど必要とされなかった。
  そのため、β波の活性レベルも低く抑えられた。
 ・対して、ライトユーザーはゲームに熟達していないため、大量のリソースが必要とされた。
  そのため、β波の活性レベルは高くなった。

リソース論に基づいてしまえば、たったこれだけのことだったりします。
そして、少なくとも処理リソース論に基づく仮説を否定しない限り、
ゲームをすることが脳に有害であると結論することはできません。
ゲーム脳の人が常時β帯域の活性レベルが低いことについても同様に、
本人が意欲的に活動しているときの脳波を測定した上で、議論する必要があるでしょう。
人間は四六時中、頭の中であれこれ考えているわけではないのですから・・・。
必要がないときに、ボーッと頭を休めるのも、人間として普通の行動です(笑)。

だからといって、ゲームばっかりやるのは問題ですけどね。

今日は、ちょっと難しいお話をしてみました。
間違いやご意見などがありましたら、拍手やコメントでお願いします。
なお、処理リソース論の妥当性については、ここでの議論はご遠慮ください。
処理リソース論は、「現状の心理学において説得力が高い」とされてはいますが、
疑問視する研究者さんもいらっしゃいますし、今後ひっくり返る可能性もあります。


| しるふぃむ | 心理学 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) |